一時は宿泊が難しいほどの人気に!
メディア紹介で問い合わせ増、承継へ(古遠部温泉)
青森県平川市の古遠部温泉(ふるとうべおんせん)。
泉質の良さと美味しいお食事で根強いファンも多くいる、身も心も癒される名湯です。
しかし、創業から40年経った今、存続の危機を迎えていました。
なかなか良い承継先に出会えなかったこの温泉がリコネルと出会い、2023年6月に後継者内定に至るまでの約半年間のできごと、そして「コネル」ことがもたらした効果とは。
知る人ぞ知る名湯が静かに抱えていた、後継者の不在という問題
青森の古遠部温泉が後継者を探しているという情報を、リコネルがキャッチして、経営者である木村達夫社長にご連絡を入れたのは、2022年の秋頃のことでした。
間近に控えていたリコネル提供の番組「GOTO事業承継」の新年スペシャル(テレビ西日本・2023年1月放送)が青森県特集だったこともあり、番組で古遠部温泉を紹介することとなりました。
初めて現地を訪れたのは12月の初め頃。場所柄、大雪が降ることも心配していましたが当日は晴天に恵まれスムーズに到着しました。
リコネルからは寺嶋(株式会社パンスール代表取締役)が、木村社長をインタビューする形でテレビ番組に出演。その後、近況などをヒアリングさせていただきました。
体験主義の寺嶋はインタビュー前に、現地で実際に温泉に入りました。
感想は…
「お湯から出た後もずっと体がぽかぽか暖かくて冷めない。さすが湯治のために毎日通う常連客がいる、温泉好きの間で名高い温泉だけのことはある」
雪が積もった屋外を半袖のTシャツ一枚で歩き回って涼む姿に、同行していたメンバーの皆が驚いて心配するほど。
テレビ取材も終わり木村社長にお伺いすると、できれば、湯治客メインで賑わう素朴な今の形のままの良さを残したい・おしゃれで高そうな施設にはしたくないという想いをお持ちでした。
すでに事業承継を支援する機関などに相談しているが、承継に至るお話がなかなか出ていない状況で、木村社長の体調面からもそろそろ継続が厳しいため、このまま後継者がいなければ2023年の春ごろには閉業となる予定でした。
メディアの力を借りて「コネル」
ファンからは「何とかして続けて欲しい」という声が上がっていると聞き、何とかしたいとの想いを込め、2023年1月に取材した番組が放映されました。
「しっかりわかりやすく、メディアで広く伝える」のがリコネルの「コネル」サービス。
具体的な譲渡金額や条件、時期と状況など最新情報をしっかりお伝えするとともに、テレビ番組放映だけでは見逃してしまうことを想定して、YouTubeでのアーカイブとしても掲載。合わせてプレスリリースや取材記事など多くのメディアで情報を拡散して接点を増やします。
映像で、文字で、写真で…わかりやすく伝えた結果、興味を持った温泉ファンたちが積極的に話題として取り上げてくれて、多くの人が知ることになりました。
「希望金額XXXX万円!誰か継いでくれませんか!!」
「あの古遠部温泉が廃業の危機らしい…?早く行かないと」
温泉好きのコミュニティをはじめ、そんな声がSNSに広がっていました。
本当は3月末で営業終了しようと考えていた古遠部温泉でしたが、その日に近づくにつれて、このままなくなってしまうかもしれないと危惧した温泉ファンが詰めかけ混みあい。一時期は宿泊の予約が難しくなるような状況になっていました。熱心なファンの声もあり、古遠部温泉は後継者を探しながら5月末まで営業を延長することに。
その傍ら、多くの具体的な問い合わせがリコネルにも入ってきました。
「もともと青森県出身なのでUターンして継げないかと思っている」
「東京からよく訪れていた。大好きな温泉なので何とかしたい、話を聞きたいです」
「個人なのだが承継は可能でしょうか?」
若いサラリーマンのご夫婦、青森出身で自営業の男性、東京住まいの温泉ファンの女性…その他、様々な方からの問い合わせが入ってきました。
中には「自分には承継は難しいが、記事を見て心配しています。何かできないかと思ってご連絡しました」という、強い想いファンからの問い合わせも何件かありました。
寺嶋「メディアやネット、SNSで発信した情報を見て、普段M&Aにはあまり縁がない、会社を買おうと思ったことがないだろう人たちがどんどん手を上げる、それがとても印象的だった」
リコネル側では、問い合わせいただいた方々と順々に面談を進めていきました。
東京、大阪、青森…オンライン面談の時もあれば実際にお会いしてお話をすることもありました。
応募いただいた方の想いや状況は本当に様々でした。そのため、一人一人としっかりお話をして「この方なら…」と思える候補者をリコネル側でしっかり選び、お繋ぎさせていただきました。
半年の間に何人もの候補者の方と面談された木村社長は、2023年6月に近隣の温泉の常連客の方への譲渡を内定。
「多くの候補者から選べたことで納得のいく後継者を選ぶことができました」
半年の間に何人もの候補者の方と面談された木村社長はそのように話されていました。
振り返って
古遠部温泉は今までも承継先を探されていたのに、そのことがあまり知られていないことで後継者を選ぶところまでたどり着かれていなかった状況でした。とても良い温泉施設なのに、そのままだったら温泉はなくなってしまっていたかもしれません。
今回リコネルでは、具体的に条件を伝えて検討しやすくしたこと、広く知ってもらうことで、潜在的な後継者候補が情報を知って手を上げていただけるようにできました。
後継者の選択肢が増えることは、経営者の想いをよりしっかり継いでいただける方を選ぶことが可能になります。
あらためて「広く知ってもらう」「わかりやすく伝える」ことが重要だと感じました。