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【承継済】長崎県壱岐島唯一の郷土料理店はらほげ。
半世紀愛され続ける「うにめし」の魅力

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エメラルドグリーンの海に囲まれ、豊かな自然とともにおおらかな島民たちが暮らす長崎県の離島、壱岐島。水産資源に恵まれた海域である玄界灘に浮かぶこの島は、対馬と九州の間に位置しています。九州からは博多港から高速船で約1時間、長崎空港から飛行機で約30分の距離にあり、新鮮な魚介類を使ったグルメが観光客に人気です。

そんな壱岐島で半世紀にわたり、島民や観光客たちに愛されてきた郷土料理店「うにめし食堂 はらほげ」を切り盛りしてきたのが女将の三浦多恵子さん。食堂は壱岐島唯一の郷土料理店として観光ツアーの定番スポットであり、さまざまなメディアに掲載され、この「うにめし」を目当てに多くの観光客がやってきました。

今回は、伝統的な料理で壱岐島の観光を支え、島民たちの拠り所として親しまれてきたはらほげの魅力と、事業承継への想いについて紹介します。

地元住民愛され度
地域貢献度

きっかけは「喫茶店のように気軽に集まれる憩いの場が壱岐にもあれば」という想い

一般的に「壱岐島」というと、長崎県壱岐市の中でも壱岐本島を指します。壱岐市は本島と23ある属島からなり、沖縄を除くと全国で20番目に大きな島です。海産物が豊富な海域に面しているため、古くから漁業が盛んで漁師や海女たちの島として栄えてきました。

三浦さんは島を代表する食材として「海女さんたちの採るウニやサザエ」を挙げています。壱岐島では海に潜って貝や海藻などを採る伝統的な海女漁が現在も続いていて、食堂で使う食材も島の海女さんたちが採ったものにこだわります。

三浦さん「私たちは、もともと仲買をやっていました。夫が島の海産物を各地に納品していて、その関係で淡路島に行く機会があったんです。すると、淡路島では島の人たちが気軽に喫茶店でコーヒーを飲んだりしていて、こんな風に島民が集える場所が壱岐島にもあれば、と思ったのが食堂経営を始めたきっかけです」

三浦さんは壱岐島生まれの壱岐島育ち。先祖から続く海産物の仲買として仕事をしていました。当初は食堂経営と仲買を両立していたといいますが、何か転機はあったのでしょうか。

三浦さん「開業からしばらくして、夫の体調問題もあり、仲買は引退して食堂経営に専念することになりました。仲買を辞める時は、先祖からずっと受け継いできた仕事をなくすことは寂しいと思いましたが、それが転機だったというよりも、時代の流れもあるので仕方のないことだと思っています」

はらほげには三浦さんたちが大切にしてきた壱岐島の食材を使って「おいしい郷土料理を食べられる憩いの場にしたい」という想いが込められていました。

また、店名の「はらほげ」は壱岐島の東部、八幡浦に祭られた6体のお地蔵さん「はらほげ地蔵」が由来です。お地蔵さんの腹部に穴が開いていることから「はらほげ」と呼ばれ、島民たちが豊漁や海での安全を祈願しています。普段は「満潮時は海に浸かる地蔵」というシチュエーションが人気の観光スポットで、このお地蔵さんを見学して、はらほげで「うにめし」を食べるのがおすすめの壱岐島ツアーだといいます。

「海女さんの採る壱岐島のウニ」にこだわり、観光に欠かせないスポットに

はらほげは「うにめし食堂」の名前の通り、その魅力は新鮮なウニをふんだんに使った郷土料理「うにめし」です。壱岐島の海女さんが採った「紫ウニ」「赤ウニ」「バフンウニ」の3種類を混ぜ込んだ贅沢な炊き込みご飯で、ウニの甘みとうま味を堪能できます。

三浦さん「『うにめし』は壱岐島に古くからある料理で、海女さんたちが考えたと伝わっています。海女さんは海に出てウニやアワビを採ると、その日のうちに中身を出す仕事があります。なので、家事をする時間がなく、家族の食事を用意するのも大変でした。そこで、仕事と食事の準備を同時にできるように、採ったウニを使ったご飯を考えたのではないでしょうか。はらほげでは、昔と変わらない島ならではの『うにめし』を楽しんでもらえます。それにウニ以外にも、料理に使う食材は質の高いものにこだわり、魚介類は自分で市場から仕入れています」

三浦さんが語るように、はらほげは「長崎県の魚愛用店(県産魚を積極的に活用したメニューを提供する店舗)」として、長崎県から認定されています。

しかし、その「うにめし」も現在は提供している飲食店が激減。島内唯一の郷土料理店であるはらほげも、三浦さんの年齢や後継者の不在などから経営の岐路に立っています。島民や観光客からは「なくなればとても寂しい」「壱岐島といえば、はらほげの『うにめし』なので、観光ツアーに欠かせない郷土料理店が閉店すれば、地域の暮らしにも影響が出るかもしれない」と、惜しむ声が多く寄せられていました。

「壱岐島を好きになってくれる人」に受け継いでもらいたい

三浦さんは「創業50周年を迎えられれば、という想いで今まで頑張ってきました」と話し、2022年が一つの節目の年だとしています。そこで、これからの展望を聞きました。

三浦さん「壱岐島を好きになってくれる人に食堂を受け継いでほしいです。ただ、その人に『食堂を今のまま維持してもらいたい』ということではありません。もちろん、たくさんの人に愛されてきた『うにめし』は続けてほしいという気持ちはありますが、それだけにこだわる必要もないと思っています。九州や本州の人たちであれば、もっと今の時代に合った価値観を持っています。そうした新しい考え方などが食堂の経営にプラスされれば、伝統を大切にしながらも、新しい壱岐島が生まれると思っています」

三浦さんは食堂経営という事業だけではなく、壱岐島の未来を見据えた想いを語ってくれました。そうした地元を大切に思う女将さんの想いが伝わったからこそ、みんなに愛されてきた郷土料理店「うにめし食堂 はらほげ」。壱岐島になくてはならない存在として親しまれ、2022年に創業50周年を迎えました。三浦さんは、次の50年も多くの人が訪れる場所として食堂を残すために事業承継を模索しています。

これからも、美しい自然を楽しみながらおいしい「うにめし」が食べられる壱岐島が続くためにも、島と食堂の魅力に共感できるパートナーが現れるのが待ち遠しいですね。

#後世へ残したい企業

長崎県-Nagasaki

有限会社はらほげ

飲食

会社名

有限会社はらほげ

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