33年変わらぬ青春の味。
京都に根づく素朴で濃厚な
ニューヨークチーズケーキ
京都市上京区、京都御苑から徒歩 10 分。街中でありながら緑の多い今出川エリアで、同志社大学の北向いに本店を構える「パパジョンズ」はチーズケーキの専門店です。ニューヨーク出身のオーナーの家に伝わる家庭のレシピそのままに、クリームチーズとサワークリームをたっぷり使ったニューヨークチーズケーキを焼き続けて 33 年。現在では今出川本店・六角店・修学院店と京都市内で 3 店舗を出店し、京都の名物チーズケーキとして愛されています。オーナー夫妻のチャールズ・ローシェさん、澤口美枝子さんにお話を伺いました。
母のレシピを受け継いだ、ニューヨーク生まれのチーズケーキ
パパジョンズはチャールズ・ローシェさんと澤口美枝子さんがご夫婦で開いたチーズケーキのお店です。看板メニューのニューヨークチーズケーキは、濃厚で自然な味わいが魅力。チャールズさんの故郷ニューヨーク、アメリカの家庭のレシピで作られており、クリームチーズとサワークリームをメインに作られたどっしりとしたチーズケーキと、シナモン風味の自家製グラハムクラッカーが相性抜群です。
京都で出会ったお二人は結婚後、ニューヨークにあるチャールズさんの実家へ。イタリア系アメリカ人であるローシェ家の人々にとって、家族で食卓を囲む時間はとても大切なものでした。そしてデザートにたびたび登場したのが、チャールズさんのお母様が焼く素朴で濃厚なチーズケーキだったのです。
6 年間のアメリカ生活の後、ふたたび夫妻は京都に戻りカフェ&サンドイッチショップをオープン。そこでデザートとして出した”母の味”のニューヨークチーズケーキが評判を呼び、1990 年(平成2 年)に今出川でチーズケーキ専門店「カフェ・パパジョンズ」を開店する運びとなりました。
店名の由来はチャールズさんのお父さんの名前から。家族的でほっとできる場所を作りたいとの思いを込めています。
チャールズさん「当時の日本ではスフレ生地にアプリコットジャムを乗せたチーズケーキが主流でした。スフレもおいしいですが、ニューヨークチーズケーキとは別物で、ピザとスパゲッティくらいかけ離れています。その頃ニューヨーク風はかなり珍しかったですね」
日本人の口に合うように少し甘さを控えめにしていますが、レシピはチャールズさんのお母様から教わったものをほぼ忠実に再現しています。小麦粉はつなぎ程度にしか使わず、オーストラリア産のクリームチーズとサワークリームはふんだんに。
そのため、開店当初は在日外国人の間で「懐かしいチーズケーキを出すお店がある」と話題になりました。噂を聞いて遠方から訪れるお客さんもいたのだそうです。
オープンから数年が経つと地域に馴染み、常連客も定着しました。本店は同志社大学の今出川キャンパスと道を1本挟んで隣接しており、同大学の出身者には「青春の味」としてパパジョンズのチーズケーキを記憶している人が多くいます。
美枝子さん「卒業して何年も経ってから『懐かしい』と立ち寄ってくださる方がたくさんいらっしゃいます。そういう時はやっぱりすごく嬉しいですね」
開店して 33 年。変わらぬ味で作り続けてきた本場のニューヨークチーズケーキは、この地域の人々にとっても懐かしい思い出の味となっています。
京都市内で3店舗を出店し、通販でも人気の商品に
二人で始めた小さなお店は順調に人気となり、京都市内に支店を出店するようになりました。現在は今出川本店の他、六角店、修学院店の3店舗を運営しています。
六角店は錦市場からほど近く、買い物客と観光客の両方が訪れる賑やかなエリアに位置しています。手土産にチーズケーキを買い求めるお客様が多く、カフェも盛況です。
修学院店は、小さな商店街の中にある工場直営店で、内部に厨房と事務所を備えたパパジョンズの重要拠点です。ほぼすべての商品がこの厨房で製造されており、店舗・通販・卸と幅広い業態に対応しています。
現在までに作ってきたチーズケーキは数十種類におよびます。くせの少ないこのチーズケーキの生地は、多種多様なアレンジを楽しめる包容力を持ち合わせています。チョコレート、アールグレイ、抹茶などのフレーバーの他、オレンジやマンゴーなどの数々の果物との相性の良さなどもあって、バラエティ豊かな数多くのチーズケーキを生み出してきました。
その他にもパイやバターケーキ、クッキーなどチャールズさんの「家庭の味」をもとにした、さまざまな商品がこの厨房で製造されています。
美枝子さん「“今月のスペシャルケーキ”というのがありまして、どんなチーズケーキにしようか毎月スタッフの間で話し合って決めています。新作が出ることも多いのですが、このスペシャルで好評だったチーズケーキは、通年の、もしくはその季節の定番商品として、毎年ショーケースに並ぶようになったりします。こんなにもたくさんのチーズケーキが生まれたのはこんなチーズケーキをつくりたいというスタッフの思いと、またあの限定ケーキを食べたいね、と言って下さるリピーターのお客様の思いが重なっていった結果だと思います。」
チーズケーキは冷凍保存できるため生産能力を安定させやすく、通販にも適した商品です。かつて大手通販会社の商品に抜擢され、スタッフの総力をあげてチーズケーキを用意したことも。
チャールズさん「3ヶ月間、スタッフと厨房をフル稼働させて準備しました。大変だったけど楽しかったですね」
ホールのチーズケーキ 2 万個を焼き上げたといいますから驚きです。とはいえ、「どちらかといえば経営者というより職人気質」だというお二人。手作業でできる工程はなるべく手作業で行うことを心がけています。その根底には、開店当初のおいしさを守りたいという思いがあります。
「託すなら、パパジョンズで自分の夢を実現させたい人に」
リピーターが多く、地域の人に愛されるお店。しかしお二人は現在、この事業を引き継いでくださる方を探しておられます。
一番の理由は年齢です。ともに事業を営んできたご夫婦は現在 70 代。まだまだ元気ではありつつも、お店とブランドの将来を考えるようになりました。
どのような人にパパジョンズを託したいかを尋ねてみると、次のような答えが返ってきました。
チャールズさん「情熱があって、クリエイティブで、自分の夢を叶えたいという方にお願いしたいです」
母の味を受け継いで生まれたパパジョンズは、開店当初から作り方や材料を変えることなく営業を続けてきました。長年通ってくださっているお客様のためにも、ブランドの価値を継承していくためにも、品質や味を守ってほしいという気持ちはもちろんあります。 しかしお二人は、何もかもを変えたくないとは考えていません。お店を開いた自分たちと同じように、お店を託す相手にも実現させたい夢があり、その人ならではの創造性があると思うからです。
「やっぱり自分の道を行かないとだめですよ」とチャールズさん。
承継される方のもとで、懐かしいけれど新しいパパジョンズが花開くことを願っています。
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パパジョンズ
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