福岡・柳川名物「ちゃんぽん」が有名
地元民に愛される
江戸時代創業の老舗洋食店
福岡県柳川市。「掘割」がめぐらされる水の都として知られ、多くの観光客が川下りを楽しみに訪れる人気のエリアです。
1826年、江戸時代にこの地で開店した「レストラン辰己屋」は、今では柳川名物となっている「ちゃんぽん」を初めて出したお店としても知られています。
住民から愛されているだけれはなく、観光面でも重要な存在であるお店への想い、そしてこれからについてご主人の東さんにお話をお伺いしました。
「辰巳屋」のお店のドアを入ると出迎えてくださったのは、店主の東信介さん。
お店で一番人気の料理は「ちゃんぽん」(750円)
ここ柳川で90年以上も前から親しまれている、辰己屋の看板メニューです。
東さんの曽祖父が本場長崎で作り方を学び、生まれた一品。
作り方はいたってシンプルで、大きな中華鍋に12種類の具材を炒めたところに3日間かけて作った秘伝のスープを入れて煮込みます。
具だくさんで彩り豊かな熱々のちゃんぽんは食欲をそそります。
店主の東さんは、もともと別の仕事に就くつもりでしたがご家族の体調が悪化したことや、従業員が不足していることから実家のお店の引継ぎを決意。
県内の有名ホテルで修業を積んだのち、7代目としてお店を継がれた後、昔ながらの味はしっかり残しながらも、ホテルで学んだ経験を生かして時代にあった新しいメニューを生み出してきました。
60歳とまだお元気でお若いですが、事業承継を考えられている東さん。
あと10年、70歳ぐらいまではお店を続けたいと考えていますが、お店には現在後継者になる方はおられず、3人の娘さんも引き継ぐ予定はありません。
「あと2~3年以内に後継者を見つけられなければ引継ぎは無理ではないかと思っています」
辰己屋の一日は朝8時半、料理の仕込みや下準備から始まります。
11時にお店がオープンするとすぐに店内はお客様でいっぱいになりました。14時を過ぎ、お店のランチタイム営業が終わっても、休む間もなく配達用の料理を準備する東さん。
辰己屋の売上は配達が4割を占めており、奥様が配達を担当されることもあります。
ご主人と同じくシャイで口数が少ない奥様は、今後について
「身体にガタがくるまでというぐらいで特に希望はしていないので…70歳であれば70歳でいい、そのあと楽しんで生活できればよいと思っています」
とご主人の意志を大切にお考えになられていました。
40年以上常連のお客様は
「疲れている時やおいしいものをいただきたい時に、温かいお料理を持ってきていただけるので本当に助かっているので、ここでなくなってほしくない」と語ります。
夜の営業は16時半に始まり、21時に閉店。
売上目標金額を12万円としていましたが、取材当日は雨でお天気が悪く夜の客足が少な目だったことで売上は9万円強となりました。
東さんにどんな方に継いでいただきたいかをお伺いすると
「後継者の方は、料理が好きで人と会うのも好きな人、地元や周りの街の皆を愛する人であれば…」
とのお答えが返ってきました。
辰己屋は、自分の生活基盤であり、生きてきた一つの形だとおっしゃる東さん。
「どこにいってもあるものけど、ここにしかないもの」という辰己屋の魅力。
その魅力を引き継ぎ、地元で愛されるお店を残して味を受け継いでいく方を求めています。
#後世へ残したい企業
レストラン辰己屋
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