魚の消費量が日本一多い街・北九州。
地魚の美味しさをもっと伝えたい
「幸寿し」の想い
福岡県北九州市。九州の玄関口であるこの街は魚の消費量が日本一多いことでも知られています。
小倉城から車で約10分の住宅街にある「幸寿し」は、創業から60年の歴史を持つ趣のあるたたずまいが魅力の地元に愛される「町のお寿司屋さん」。
「北九州 技の達人」にも認定された二代目のご主人、原田さんにお店の魅力とこれからへの想いをお伺いしました。
ご主人の原田耕治(はらだこうじ)さんは68歳。お店を一人で切り盛りしています。
お店の売りは北九州の地魚を中心としたネタを使ったにぎり寿司(上にぎり2,100円)
日替わりで鮮度のいいものだけを使うのがこだわりです。
幸寿し一番のおすすめメニューは「ごまサバ」(700円)
サバの切り身に、ごま・醤油・砂糖・みりんで味付けした秘伝の特製たれを合わせて作ります。
北九州ではよく食べられている料理ですが、幸寿しでは活サバが市場で仕入れられる日にしか作らない一皿です。
活サバは一般的なサバの4倍の値段。手作業で〆る活サバは鮮度がよく、コリコリとした歯ごたえで、噛むほどに旨みが溢れ出します。
原田さんは幸寿しの2代目として先代の父からこのお店を受け継いでずっと守ってきました。
最盛期には一日20万の売上があったそうです。
お寿司に真面目に向き合ってきた原田さん。北九州寿司組合会長も務め、料理講習会を各地で開くなど精力的に活動していました。
2018年にはその功績がたたえられ「北九州技の達人」にも認定されました。
「北九州は、魚の消費量が日本一多い街。魚を食べるんだったら北九州が日本一だよね!ってよく言われるんです」
まだまだお元気な原田さん。
北九州で獲れた魚の味を後世に残していきたいと考えていますが、お子様2人はすでに独立してお店を継ぐことはないとのこと。
「自分が満足できるものができなくなったらもうお店はできないと思っています。今から30年後となればもう動けないですしね…」
近年、引き継ぎ手がいない飲食店は63.3%に達していると言われており、これは日本全体が抱えている問題でもあります。
幸寿しの一日は朝7時、シャリに使う米研ぎから始まります。
お米をもむように洗うのは、あえてお米に傷をつけてたっぷり給水させてふっくらと炊き上げる達人の技。
朝一番にお米を洗うことで、次の作業の間に吸水させておき、効率よく作業を回します。
7時半にまかないの朝食を食べた後、8時にはネタの買い出しに向かいます。
大正時代に創設され、100年以上の歴史を誇る「北九州の台所」、旦過市場(たんがいちば)へ。
近海の海産物が豊富に扱われていますが、最近は燃料費の値上がりで魚介類も2倍近く値上がりしているそうです。
本日一日の売上の目安をお伺いすると約6万円。
お客様一人あたり5,000円、15人ぐらいの来店を見込めればとお話されていました。
朝9時にお店に戻ると、すぐにネタの魚の仕込みが始まります。そのあと炊きあがったご飯を酢飯に仕上げていきます。
11時にはお昼の営業がスタート。
お客様がいない間に休憩をとり、午後5時にはテイクアウト用のお寿司5人前を握り始めます。
頼んでくれたお客様には通常より1貫多く握ってサービスするのが原田さんのポリシー。
「今来てくれるお客さんには今喜んでもらったらいいんで!」と笑顔を見せます。
夜7時には予約していた常連さんが来店。
しかしその常連さんを置いて、原田さんは出前のために外へ出ていきます。
一人で回しているお店の中はお客様だけに…
お店が心配ではないんですか?とお聞きしたところ
「いいお客様じゃなかったら出前には行かないです、知らないお客様だったら出前のほうをお断りしますよ」
と屈託なく語ります。
30分で配達を終えて、ダッシュでお店に戻ります。
10年以上通う常連さんに幸寿しのことをお聞きすると
「大将がここにいなかったらもう来ないですよ。以前に一度聞いたときには後継者はいないと言っていたんですけど…」
常連客さんは心配そうに
「あと10年は大丈夫ですよね?」
と笑って尋ね、ご主人と会話する様子に、地域に愛されているお店だと感じることができます。
夜11時には一日の営業が終了。この日の売り上げは68,000円。
テイクアウトと常連さんのおかげで普段よりも多い売り上げとなりました。
どんな人にお店を継いでほしいですか?とお尋ねすると
「お寿司の味だけでお客様が来ているわけではないくて、大将といるから楽しい、
個人でやっているお店は、それが味にプラスされるんですよね」
「何年でできるようになるかはわからないですよね、早い子は2~3年で覚えるかもしれないし」
とお話される原田さん。
北九州の美味しい魚を食べられるお店を残していっていただける方を募集しています!
#後世へ残したい企業
幸寿し
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