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季節のパフェやかき氷が話題!
京都・八坂神社からすぐの!
小さなカフェにこめられた夫婦の想い

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京都市東山区にある八坂神社は、平安京遷都(794年)以前より鎮座する古社。地元では「祇園さん」の愛称で親しまれ、趣ある周辺の街並みと合わせて、連日多くの観光客でにぎわっています。「金の百合亭」は、その八坂神社から徒歩約1分のところにあるカフェ。八坂神社石段下西楼門の斜め向かいにあります。雑誌やガイドブックで取り上げられ、SNSでも話題を集める「パフェ」や、こだわりの空間演出は、すべて夫婦二人で作り上げてきたもの。三世代にわたるファン、福岡県はじめ遠方にもリピーターがいるという、“小さなお店”の大きな魅力をマスターの手嶋文彦さんにお伺いしました。

ビジュアル魅力度
立地の良さ度

町家の雰囲気を残しながら、神社を一望できる空間へ

お店をオープンしたのは、2014(平成26)年の7月のこと。手嶋さんと妻の真佐美さん夫婦二人でのスタートでした。商店街の2階という立地もあり、開店当初は集客に苦戦。1階に看板を置き、ポスターを貼って宣伝するなかで、徐々に認知されるようになり、八坂神社の観光客を中心にお客さんが入るようになりました。

手嶋さん「2階で飲食店は不利だとアドバイスしてくださる方もいましたが、八坂神社をパノラマで望める物件なんて、なかなかないですから。一目ぼれして、決めました」

お店東側のカウンター席は、朱色輝く八坂神社の西楼門が一望できる人気スポット。以前は美容室だったそうで、格子が張り巡らされて外がほぼ見えない状態だったのを、手嶋さんが改装しました。

手嶋さん「店内のリニューアルには、夫婦の退職金をすべて注ぎ込みました。元々は90年続いた町家だったそうで、天井の立派な梁はそのまま残しつつ、ウォールナット一枚板のカウンター席など、インテリアは木と漆喰を基調にしました」

店内BGMは、手嶋さんこだわりのクラシック音楽。カウンター席の二重窓にしたのも、外の喧騒をできるだけシャットダウンするため。穏やかな空間と、ハイスペックなスピーカーから流れる旋律のファンも多いのだとか。


脱サラして料理学校へ! 月替わりパフェがヒット

現在60半ばを迎えた手嶋さん夫妻が、飲食店を始めようと思い立ったのは40代も後半にさしかかった頃。二人とも会社勤めをしていましたが、将来のことを話し合う機会が多くなっていました。ある時「お店でもできたらいいよね」という何気ない一言から、発起。休日を利用しながら、手嶋さんは料理学校へ、真佐美さんはパティシエの学校に通い始めました。そして、オープンしたのが「金の百合亭」でした。

手嶋さん「店名の由来は、ロッシーニという作曲家のオペラから。『ランスへの旅』という作品のなかに、同名の宿屋が登場するんです。そこに世界中の人が集まって、王様の戴冠を、お祝いするんですね。そんな風にたくさんの人が楽しい時間を過ごせるお店にしたくて名づけました」

オープン当初は店名にならって、オペラに因んだスイーツや料理を提供していました。しかし、カフェのトレンドが「和カフェ」になってきているのを感じた夫妻は、京都ならではの抹茶をベースにしたスイーツづくりに挑みます。

手嶋さん「この辺りでは新参者の私たちが、単なる抹茶スイーツを作っても、他のお店にはかないません。そこで、日本人が季節感を大切にすることに着目して、“月替わりパフェ”を始めたんです」

例えば1月は「夕鶴~新春」をテーマに、6月は「紫陽花」をテーマにしたパフェを考案しました。するとこれがヒット。抹茶や羊羹、練り切りなどこだわりの素材の絶妙なバランスと、色鮮やかでフォトジェニックな見た目が、女性、カップル、スイーツ男子といった若い世代を中心にリピーターを呼びました。

※写真はお店のInstagramより

手嶋さん「難しかったのは8月の『夏涼み』。練り切りの金魚を泳がせたくて、妻と一緒に試行錯誤を繰り返しました。価格が安いと言われるんですが、私も妻も自信がなくて(苦笑)。すべて手作りなので、1日24セットほどが限界です」

「金の百合亭」のパフェやかき氷は、マスメディアにも多く取り上げられ、SNSでも話題に。八坂神社をバックにパフェを撮影できるカウンター席は、人気のフォトスポットになりました。


夫婦でつくりあげたお店とパフェの味を残したい

観光客はもちろん、地元住民、さらには、遠方のリピーターも獲得して売上も好調。タクシーの運転手さんも修学旅行生に「金の百合亭」をおすすめするほど、人気店になりました。コロナ禍で一時的には減少したものの、客足はほぼ戻り、コロナの「ゼロゼロ融資」も完済。しかし、手嶋さん夫妻は、お店の譲渡を決意しています。

手嶋さん「来年で開店から10年になります。譲渡の一番の理由は、店舗の定期借家契約が2024年4月で満了になることなんですが、私も妻も病気をしまして、体力的に店に立つのが厳しくなってきた。最近では手作りのカレーやパスタの提供もできなくて。喜んでくださるお客さまも多かっただけに、申し訳ない気持ちでいっぱいです。」

朝早くに出勤し、帰るのは終電。パフェもかき氷も、コーヒー一杯までも手間を惜しみたくないという気持ちに、体のほうがついていきづらくなったのです。とはいえ、「金の百合亭」を愛してくれるたくさんのお客さんのために、店は閉めたくない。手嶋さんは葛藤し、夫婦で何度も話し合い、譲渡という結論を出しました。

手嶋さん「遠くにお住まいで、この店を目当てに毎月来てくださる方、親子二世代、三世代で訪れてくださる方々をはじめ、本当に多くのお客さまに支えられてきました。私の都合だけで店を閉めるというのが、どうしてもできないんです」

譲渡先は法人、個人問いません。ただ、穏やかで清潔感に富んだお店の雰囲気と、パフェをはじめとしたメニューのレシピは受け継いでほしいと語ります。

手嶋さん「妻がアイデアをイラストに描き、私と一緒にああでもない、こうでもないと言いながら作ってきたパフェです。クラシックを流すのはあきらめられても、パフェは受け継いでほしいんです」

レシピはある。でも、文字と絵だけでは伝わらない、感覚や雰囲気を感じてほしいと、承継者には譲渡までお店で一緒に働いてもらえる人を希望しています。

店名の由来どおり、たくさんの人を楽しませ、喜ばせてきた「金の百合亭」。この穏やかな賑わいがこれからもずっと続いていくことを願ってやみません。

#後世へ残したい企業

京都府-Kyoto

金の百合亭

会社名

金の百合亭

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