【九州エリア紹介】「貴久春」(熊本県上天草市)9/6放送
【9/6放送】「貴久春」(熊本県上天草市)
リコネル提供の「株式会社フット後藤 GOTO事業承継」(テレビ西日本)の「絶滅危惧食」コーナーで
「事業承継先募集」で放送されたお店を紹介いたします。
熊本県の西側にある上天草市。
大小120の様々の島から構成される天草諸島でおよそ23000人が暮らしています。
海がきれいで波が穏やかな天草は、海水浴やイルカウォッチングなどでも有名な場所です。
「貴久春」は、そんな風光明媚な街に約半世紀に渡り営業している飲食店。
ラーメンと書かれた暖簾のかかった味のある入口、カウンター9席のコンパクトなお店です。
お店を経営しているのは、釜本喜久男さん、洋子さん。
お互い80歳を超えながら、お二人で営業されています。
一番人気のメニューは「うめおろしラーメン」(770円)。
大根おろしに梅肉が乗った変わり種の一杯。
つわりが激しい妊婦さんでもこれなら食べられるという、あっさりさっぱりとしたラーメンです。
スープの出汁は裏ごしした梅肉の特製ダレに豚骨・豚足・鶏ガラでとっており、そこにスープが絡みやすい中細縮れ麺を柔らか目に茹でたものを合わせています。
自家製のネギ油が梅の酸味に香ばしさとコクを出した、満足感のある一杯です。
具材のきくらげ。黒いきくらげはラーメンの具としてよく見かけますが、貴久春のラーメンに乗っているのは珍しい白きくらげ。
「よそと同じようなことをしていたら、どこでも食べられるからお客様に来てもらえないから」と喜久男さん。
「貴久春」にはほかにも珍しいメニューがあり、その一つがチキンカツが丸々一枚乗ったガッツリ系の「チキンカツラーメン」(990円)。
揚げたてのぱりぱりした衣に、あっさりした塩味のスープを合わせています。
近隣の学校の先生がリクエストしたことから、このメニューが生まれたそうです。
梅肉おろしやチキンカツラーメンなどラーメン好きでもなかなかお目にかかることがない、そんな珍しいメニューをつくるご主人のルーツとは…?
喜久男さん「もともとは寿司専門でやっていたんです。寿司の修業でいろんなお店を回る中でラーメンを出しているお店に行って、そこでラーメンの作り方を覚えたんです」
「実はまだお寿司屋さんもやっているんです」喜久男さんがおっしゃってラーメン店の中の扉を開けると、なんとそこにはお寿司屋さんがありました。
ラーメン店とお寿司屋さんの入口は別々になっていますが厨房は裏でつながっており、ご夫婦は2つの店舗を自由に行き来しています。お寿司屋さんのお座敷でラーメンを食べることもできるそうです。
寿司職人歴67年、磨かれた技で喜久男さんが握る、特上にぎり(2,750円)も人気の一品。
四方を海で囲まれた天草は、様々な魚がとれる海鮮の宝庫で、特に白身魚は身がしまっており、遠方からもその味を求め食べに多くの人が訪れます。
ラーメン店とお寿司屋さん、80歳を超えて2つの店舗を運営しているご夫婦ですが、休みは週に1日、火曜日のみでアルバイトも雇わずお二人でお店をやっておられます。
娘さんは結婚されて別の仕事をされているため、今後お店を継ぐ方はいらっしゃらないとのこと。
釜本さんご夫婦はお二人とも地元の上天草出身で、1963年にお見合いでご結婚。
その翌年、当時お住まいだった福岡で「貴久春寿し」をオープンしました。
それから7年後、喜久男さんのお母さまが病気になったことで、故郷の上天草に戻り今のお店を開店。
その20年後にはお店を改築し、ご主人がずっとやりたかったラーメン店をオープンしました。
当時2軒のお店をやることになって奥様の洋子さんも大変かと思いきや、
「よそに負けないように頑張っていかないとね、と、仕事にハマっていました」
とご夫婦で頑張ってこられてきました。
夜23時になってもまだ明かりがついている貴久春の店内。
お店の周りにはスナックが何軒もあり、深夜にそのお客様や従業員の方が立ち寄られることが多いので、深夜2時まで営業しています。
そのため、寝るのは毎日大体4時か5時、起きるのは7時か8時…。
深夜のお客様が全くいらっしゃらないこともあるそうですが
「暇だからといって早く閉めたりすると、あてにならないと最初から来てもらえなくなりますので」
と喜久男さんは頑なに営業時間を守られています。
釜本さんご夫婦が営まれているのは、ラーメン店とお寿司屋さんだけではありません。
なんとお店の2階は民宿になっており、1泊4,400円から泊まることができます。
そんな貴久春の一日は、朝8時、その日に使う野菜の仕込みから始まります。
ラーメンとお寿司の仕込みは朝にはすべて行わず、長い営業時間の中で補充しながら行います。
8時半には夫婦で道の駅へ買い出しヘ。素材には妥協しないご夫婦。
観光施設と思いがちな道の駅ですが、新鮮な魚や野菜が手ごろな価格で買える優秀なお店でもあります。
9時半にお店に戻ると買った魚の下ごしらえをしていきます。
今日の売上目標は2万円以上、客数15人を目標にしています。
開店前には毎日麦飯のまかないを食べるご夫婦。これが健康の秘訣だそうです。
11時に営業がスタートすると、満席とまではいかないですがお客様が続々とやってきます。
貴久春の人気メニューの一位はもちろん「うめおろしラーメン」。
他にも人気メニューがたくさんあります。
「すじラーメン」やわらかく煮込まれたすじが絶品の一杯です。
「ままかり」こはだのようなさっぱりした味わい。夏場にしか出回らない魚で作っている季節料理です。
「鴨南蛮うどん」やわらかめのうどんと優しいお出しの味にほっこりする一杯。
お客さまに喜んでもらいたいという想いからラーメン、寿司以外にもうどんを提供しています。
「海鮮丼」車エビ、イカ、ホタテ、ホッキ貝などがふんだんに乗ったお店一押しの丼です。
お越しになった常連客のお一人は
「長く続けてらっしゃったのでやっぱり寂しいですよね、おいしいですし」とお話されていました。
深夜に食べに行くという近くのスナックのママさんは「優しいし、面倒見がいいし」とご夫婦とのふれ合いを心のよりどころにされているご様子です。
お昼の営業が終わる14時からは休憩。17時になると仕込みをしながら夜の営業がスタートします。
深夜12時半になると、近所のスナックで働く従業員さんとお客様が来店。
遅い時間でも疲れて眠い顔をせずお客様のために働くご夫婦の姿がありました。
深夜2時に営業終了。本日の売上をお伺いすると2万2000円としっかり目標を達成されていました。
--- 今後、どのぐらいお店を続けられますか?
喜久男さん「身体がいつまで続くかですね。できたら早めに手放して、売れたら家内を旅行に連れていきたいんです」
今までご夫婦で旅行に行ったことはなく、新婚旅行にも行っていないと話されるご夫婦。
--- どんな方にお店を継いでほしいですか?
喜久男さん「やる気のある人。私はもうこれを望んでますね」
洋子さん「やる気があって頑張ってくれたら、安心ですね」
お店を譲られる金額は2,800万円と明確に決められているそうです。
50年続いてきた、地域に愛されている貴久春。よい後継者が見つかるとよいですね。
■提供番組概要
テレビ西日本(8チャンネル)
【放映日時】毎月第一水曜 深夜24時25分〜
【番組名】『株式会社フット後藤 GOTO事業承継』
後継者不足問題をTVで解決!!事業を後継者へ引き継ぐことで地域創生に繋ぐ『事業承継』の好事例紹介と後継者募集をする番組です!